当サイトは日本損害保険協会・損害保険料率算出機構・国土交通省・金融庁など公的機関や業界団体の公開情報をもとに編集部が独自に執筆しています。特定の保険会社・保険商品を勧めるものではありません。補償の内容・特約・保険料・等級の扱い・手続きは保険会社や契約によって異なり、制度は改定されることがあります。実際の補償や条件は、ご契約の保険会社・代理店の約款や重要事項説明書で確認してください。記事内には広告を含む場合があります。
事故で車が大きく壊れて「全損ですね」と言われた。『車両保険に入っていたのに、思ったより保険金が少ない』と戸惑っている方もいるはずです。
結論から言うと、車両保険で全損・廃車になった時に出るのは、契約で決めた「協定保険価額」が上限です。新しい車を買える金額が出るとは限らないんです。
この記事では、全損の意味と保険金の決まり方、等級への影響、そして修理するか手放すかの考え方を順番に紹介します。
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車両保険で全損になったら、まず確かめる3つのこと
全損の時の保険金は、保険証券に書かれた車両保険の保険金額(協定保険価額)が基準です。全損なら免責金額は差し引かれません。まずは証券の金額、事故の原因、契約のタイプを確かめましょう。
自動車保険で全損になったら、気持ちが落ち着かないまま次々に決めることが出てきますよね。
先に「何を確かめればいいか」を知っておくと、保険会社とのやり取りもスムーズになります。
- 保険会社か代理店に事故の連絡をする
- 保険証券で車両保険の保険金額と特約を確かめる
- 全損の理由(修理できないのか、修理費が高すぎるのか)を聞く
- 修理するか、廃車にして次の車を考えるかを決める
- 廃車や売却に合わせて、保険の手続きをする
日本損害保険協会の説明では、事故が起きたら遅滞なく保険会社に知らせる義務があります。修理する時も、先に保険会社へ連絡しておくのが基本です。
| 確かめること | どこで分かるか |
|---|---|
| 車両保険の保険金額 | 保険証券・契約内容の確認画面 |
| 一般型かエコノミー型か | 保険証券・約款 |
| 全損時の費用の特約や新車特約の有無 | 保険証券の特約欄 |
| 事故の原因と等級の扱い | 保険会社の説明 |
全損の2つの意味|修理できない場合と、修理費が高すぎる場合
「全損」と聞くと、ぐちゃぐちゃに壊れた車を思い浮かべる方が多いかもしれません。
実は、車両保険の全損には2つの意味があります。日本損害保険協会の説明をもとにすると、次のとおりです。

| 全損の種類 | どんな状態か | 支払われる額 |
|---|---|---|
| 修理できない | 損傷が大きく、直せない状態 | 協定保険価額 |
| 修理費が高すぎる | 修理費が協定保険価額以上になる状態 | 協定保険価額 |
| 盗難で見つからない | 盗まれて発見できない状態 | 協定保険価額 |
前の2つは、一般に「物理的全損」「経済的全損」と呼ばれることもあります。ただ、これは公的な定義の言葉ではないので、保険会社の説明の言葉で確かめておきましょう。
修理できても「全損扱い」になることがある
『まだ直せそうなのに、どうして全損なの?』と思いますよね。
修理費が協定保険価額以上になると、直せる車でも全損扱いになります。例えば、協定保険価額が低くなった古い車で、修理費の見積もりがそれを上回った場合です。
このとき、保険金は協定保険価額が上限です。修理費の全額が出るわけではない、という点を覚えておきましょう。
全損かどうかは、どうやって決まる?
『全損かどうかって、誰がどうやって決めているの?』と気になる方もいますよね。
保険会社は、事故の連絡を受けると損害の調査をします。日本損害保険協会の説明では、調査を専門の会社に任せることもあり、車の損害額や事故の原因を調べる専門家を「アジャスター」と呼びます。
修理工場の見積もりと、この調査の結果をもとに、修理で済むのか全損なのかが決まっていきます。見積もりの内容に疑問があれば、遠慮なく保険会社に説明を求めてみてください。
修理で済む「分損」との違い
修理費が協定保険価額より少ない場合は、全損ではなく修理で済む損害として扱われます。
この場合の保険金は、修理費から免責金額などを差し引いた額です。全損の時は、免責金額は差し引かれません。
日本損害保険協会の説明では、盗難で車両保険金を請求すると通常は全損として支払われ、その車の所有権は保険会社に移ります。約款で決められた日数のうちに車が見つかれば、保険金を返して車を返してもらえる仕組みもあります。日数は保険会社によって違います。
車両保険が満額出ないと感じる理由|時価額と協定保険価額
「車両保険の満額出ない」と感じる一番の理由は、保険金額と、新しい車を買う値段の差です。
車両保険の保険金額は、同じ車種・同じ年式・同じくらいの傷み具合の車を買う値段(市場販売価格相当額)をもとに決めます。新車の値段ではないんです。
| 言葉 | 意味 | 車両保険での使われ方 |
|---|---|---|
| 協定保険価額 | 契約の時に保険会社と決めた車の価額 | 全損の時の支払額の基準 |
| 時価額 | その時点の車の値打ち(同じ条件の車の値段) | 協定保険価額を決める目安 |
| 新車価格 | 新しい車を買う値段 | 新車特約が無ければ基準にならない |
日本損害保険協会の説明では、自家用の普通車・小型車などは「車両価額協定保険特約」が自動で付くのが一般的です。契約の時に決めた価額を、保険期間中は保険金額と一致させる仕組みです。
だから、車両保険の時価額以上の金額は、基本的に出ません。車が古くなるほど、更新のたびに保険金額も下がっていきます。
新車特約や全損時の費用の特約がある場合
新車を買って間もない方は、「車両新価保険特約(新車特約)」を付けていることがあります。
日本損害保険協会の説明では、新車を買ってから一定の期間内に大きな損害を受けた時、代わりの新車を買うための保険金が出る特約です。付けられる期間や支払いの条件(盗難は対象外など)は保険会社ごとに決まっています。
全損の時に、買い替えにかかる諸費用を補う特約を扱う保険会社もあります。割合や上限は商品によって違うので、特約欄に名前があるかを見てみましょう。
自動車保険の時価額の調べ方
自分の車の時価額の目安を知りたい時は、次の順番で調べてみてください。
- 保険証券で、今年の車両保険の保険金額を見る
- 同じ車種・年式・走行距離くらいの中古車の販売価格を調べる
- 買取店などで、今の車の査定額を聞いてみる
- 保険会社が出した金額の根拠を聞く
保険証券の金額は、契約の時点での協定保険価額です。中古車の販売価格や査定額と比べると、今の車の値打ちがだいたい見えてきます。
相手がいる事故でも「時価額」が上限になる
相手の過失で車が壊れた時も、時価額の考え方が出てきます。
日本損害保険協会の説明では、相手に請求できる車の損害は、車の時価額が上限です。例えば時価額100万円の車で修理費が150万円なら、相手に請求できる上限は100万円です。
修理費が時価額を超える時は、相手からも全額は受け取れないことがあります。時価額と修理費の差を一定額まで補う特約を扱う保険会社もありますが、内容は保険会社・契約によって違います。
全損の時の等級と、保険金で次の車を考える流れ
全損で車両保険を使うと、翌年の等級も気になりますよね。
車両保険の全損の等級は、全損かどうかではなく、事故の原因で決まります。日本損害保険協会の説明をもとにすると、次のように分かれます。
| 全損の原因 | 等級の扱い(一般的な例) | 事故有の割引率が続く期間 |
|---|---|---|
| 衝突・単独事故など | 3等級ダウン | 3年 |
| 盗難・台風・洪水・高潮 | 1等級ダウン | 1年 |
| 火災・物の落下など | 1等級ダウン | 1年 |
例えば、20等級で衝突事故を起こして全損になり、車両保険を使ったとします。翌年は17等級の「事故有」の区分になります。
日本損害保険協会が載せている参考純率の割引率の例で比べると、次のようになります。実際の割引率は保険会社によって違います。
| 等級の区分 | 割増引率の例(参考純率) |
|---|---|
| 20等級(無事故) | 63%割引 |
| 17等級(事故有) | 44%割引 |
| 17等級(無事故) | 55%割引 |
実際の扱いは保険会社・契約によるので、保険会社に確かめてみてください。等級の下がり方は車両保険を使うと等級はいくつ下がる?3等級・1等級の分かれ目でくわしく紹介しています。
車両保険で廃車になったら、保険の契約はどうなる?
車両保険で廃車になった場合でも、自動車保険の契約は自動では終わりません。
日本損害保険協会の説明では、車が全損になっても人身傷害保険などの補償が残るため、契約がなくなるとは考えにくいとされています。補償が要らないなら、自分で解約の手続きをすることになります。
分割払いの契約では、車が全損になっても保険料が全額払われるまで契約は当然には終わらず、分割保険料が引き落とされることがあります。全損の後の保険料の扱いは、保険会社に確かめておきましょう。
廃車車両保険の手続きと合わせて、次の3つから選ぶことになります。
- すぐ次の車に乗るなら、車両入替で今の契約を引き継ぐ
- しばらく乗らないなら、中断証明書を取って等級を残す
- もう車を持たないなら、解約する

中断証明書は、一般的に解約日から13か月以内などの期限で手続きが必要です。条件や書類は保険会社によって違うので、早めに相談しておきましょう。
車両保険で廃車の場合にいる手続き
車両保険で廃車の場合は、任意保険のほかに、車そのものと自賠責保険の手続きもあります。
| 手続き | ポイント |
|---|---|
| 抹消登録 | 廃車にする時は運輸支局などで抹消登録をする |
| 自賠責保険の解約 | 抹消登録の後、保険会社の窓口で手続きする(代理店ではできない) |
| 任意保険 | 車両入替・中断証明書・解約のどれかを選ぶ |
国土交通省の説明では、自賠責保険の解約は廃車した日ではなく、窓口で手続きした日になります。残りの期間が1か月未満なら、戻ってくる保険料はありません。廃車が決まったら、早めに手続きしておきましょう。
保険金で次の車を考える時の注意
保険金の支払いは、日本損害保険協会の説明では原則として必要書類がそろった日から30日以内です。
- 保険会社か代理店に事故の連絡をする
- 補償の内容と必要な書類の案内を受ける
- 書類を出す
- 損害の調査に協力する
- 支払われる保険金の説明を受ける
次の車の予算を考える時は、保険金だけでなく、廃車の手続きや新しい車の登録の費用もかかる点を頭に入れておきましょう。
ローンが残っている車の場合、保険金を誰が受け取るかは契約や所有者によって違います。車検証の所有者がローン会社や販売店になっていないか、先に確かめておくと安心です。
よくある相談:全損と保険金についての疑問
知恵袋などのQ&Aサイトに寄せられた、全損と保険金の相談を要約して答えますね。
全損の相談は「契約の金額と時価額のどちらが出るのか」「足りない分はどうなるのか」に集中しています。答えの鍵は、保険証券の協定保険価額と特約の欄です。
相談1:契約の金額と、言われた時価額のどちらが限度?
「保険金額は高く設定していたのに、時価額はもっと低いと言われた」という相談です。
車両価額協定保険特約が付いた契約なら、契約の時に決めた協定保険価額が全損の時の支払額の基準になります。ただ、約款は保険会社によって違います。
こういう時は、次のように聞いてみるのがおすすめです。
「証券の保険金額と、いま提示された金額が違う理由を教えてください」
「協定保険価額の特約は付いていますか?」
相談2:保険金を超える車を買う時、差額は自己負担?
「全損で出る保険金より高い車を買いたい」という相談です。
車両保険から出るのは協定保険価額が上限なので、それを超える分は自分で用意することになります。新車特約などを付けていた場合は扱いが変わることがあるので、特約欄を確かめてみてください。
相談3:廃車の時点の価値で保険金が決まる?
「車両保険で降りる金額は、廃車にした時点の値打ちで決まるのか」という相談です。
多くの契約では、事故の時点の値打ちを改めて調べるのではなく、契約で決めた協定保険価額が基準です。その協定保険価額は、契約や更新の時点の市場販売価格をもとに決まります。
相談4:車両保険に入っていないと、時価額はもらえない?
「全損の時の時価額は、車両保険に入っていないともらえないのか」という相談です。
相手がいる事故なら、相手に過失がある分は、相手の対物賠償から車の損害を賠償してもらえます。その上限が車の時価額です。
一方で、単独事故や相手に過失が無い分は、車両保険に入っていなければ自分で負担することになります。
| 相談の内容 | 答えのポイント |
|---|---|
| 時価額と保険金額が違う | 証券の協定保険価額と特約の有無を確かめる |
| 保険金より高い車を買う | 差額は自己負担。新車特約があれば扱いが変わることも |
| 廃車時点の価値で決まるか | 多くは契約で決めた協定保険価額が基準 |
| 車両保険なしで全損 | 相手がいれば相手の賠償(時価額が上限)を受ける |
今の車を手放すなら|修理か廃車か売却かを比べる
全損や、全損に近い大きな損傷の時は、「修理する」「廃車にする」「そのまま売る」を比べて決めましょう。
『こんなに壊れた車、もう値段なんてつかないよね』と思ってしまいがちです。ただ、事故で壊れた車や古い車でも、値段がつくことがあります。
| 選び方 | 向いている場面 | 気をつけること |
|---|---|---|
| 修理する | 愛着があり、修理費を払えるなら | 全損扱いだと修理費の全額は出ないことがある |
| 廃車にする | 次の車の予定があり、動かせないなら | 抹消登録や自賠責の解約の手続きがいる |
| 買取店に売る | 壊れていても値段がつく可能性があるなら | 事故歴は正直に伝える |
例えば、修理工場でこんなふうに言われることもあります。
「直すこともできますが、修理費の方が車の値打ちより高くなりそうです」
「それなら、修理と売却の両方で考えてみます」
こう言われた時は、修理費の見積もりと、売った時の査定額を並べて比べてみましょう。
- 修理費の見積もりを取る
- 保険金がいくら出るかを保険会社に聞く
- 壊れたままの状態で売った時の査定額を聞く
- 次の車の予算と時期を考える
全損の車を手放す時の進め方
保険で全損として保険金を受け取る時は、車の扱いについて保険会社と取り決めがある場合があります。売却や廃車を決める前に、保険会社に確かめておきましょう。
そのうえで、下取りだけでなく買取店の査定額も見てみると、判断材料が増えます。複数の店の査定額を比べると、相場が分かりやすくなりますよ。
名義変更の手続きは店が代わりに進めることが多いですが、店ごとに違います。ローンが残っている車は、完済しないと売却や名義変更ができません。事故歴や修復歴を伝えずに売ると、後から減額や契約解除を求められることがあるので注意しましょう。
保険の手続きと車の売り方の組み合わせは、車を売ったら自動車保険はどうする?解約・中断・入替の選び方で紹介しています。
新しい車に乗り換える前に、今の車の手放し方も決めておく
新しい車への乗り換えを考えているなら、今の車をどうするかも先に考えておくと安心です。
『新しい車のことで頭がいっぱいで、そこまで考えていなかった』という方も多いですよね。
今の車は、購入する販売店での下取りのほかに、買取店に売る方法もあります。複数の会社に査定してもらうと、条件を比べたうえで決められます。
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ポイントは「今の車をどう手放すか」です。
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- まず、控えめな下取り額を提示される
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まとめ
全損になった時は、慌てずに保険証券の金額と特約を確かめるところから始めてみてください。そのうえで、修理・廃車・売却を比べて決めるのがおすすめです。
車両保険が必要かどうかは車両保険は必要か?いらない人・入るべき人の判断基準、自動車保険の全体像は自動車保険とは|任意保険の補償と選び方をやさしく解説で紹介しています。
- 全損の時の保険金は協定保険価額が上限で、免責金額は差し引かれない
- 全損には「修理できない」「修理費が協定保険価額以上」の2つの意味がある
- 満額出ないと感じるのは、保険金額が新車ではなく同じ条件の車の値段で決まるから
- 全損の時の等級は、事故の原因で3等級ダウンか1等級ダウンに分かれる
- 全損でも保険契約は自動では終わらない。車両入替・中断証明書・解約から選ぶ
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