自動車保険の対物賠償とは|無制限にする理由と対物超過特約

乗用車とガードレールや建物のアイコンに盾のマークを重ね、自動車保険の対物賠償を紹介する記事のアイキャッチ

当サイトは日本損害保険協会・損害保険料率算出機構・国土交通省・金融庁など公的機関や業界団体の公開情報をもとに編集部が独自に執筆しています。特定の保険会社・保険商品を勧めるものではありません。補償の内容・特約・保険料・等級の扱い・手続きは保険会社や契約によって異なり、制度は改定されることがあります。実際の補償や条件は、ご契約の保険会社・代理店の約款や重要事項説明書で確認してください。記事内には広告を含む場合があります。

保険証券の「対物賠償 無制限」の文字を見て、『本当に無制限が必要なのかな』と思ったことはありませんか。

結論から言うと、自動車保険の対物賠償は、車の事故で他人の車や物を壊した時の賠償に備える補償で、無制限に設定するのが一般的です。確かめる順番は、まず保険証券で対物賠償の保険金額と免責金額を見る、次に対物超過修理費用特約が付いているかを見る、最後に分からない点を保険会社に確かめる、です。

この記事では、対物賠償の中身と、無制限や特約の考え方を紹介します。

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目次

自動車保険の対物賠償とは?他人の物を壊した時の補償

先に結論

対物賠償とは、車の事故で他人の車や自転車、ガードレール、街灯などを壊して法律上の賠償責任を負った時に、1回の事故につき保険金額を限度に支払われる補償です。自分や家族の持ち物は対象外です。

車の事故では、相手の車だけでなく、お店の建物や電柱など、いろいろな物を壊してしまうことがありますよね。

対物賠償は、そうした「他人の物」への賠償を受け持つ補償です。自賠責保険は人のケガだけが対象で、物の損害は補償されません。

壊した物対物賠償
相手の車・バイク・自転車対象
ガードレール・街灯・信号機対象
お店の建物・商品対象
自宅の塀・車庫対象外(自分の物)
家族が持っている車対象外(家族の物)

日本損害保険協会も、車庫入れで自宅の塀を壊した、妻が夫の車に追突した、という例を対象外として挙げています。家族の車にぶつけた時の考え方は、家族の車・他人の車にぶつけた時の保険で紹介しています。

対人対物はセットで考える

自動車保険の対人対物は、相手への賠償を受け持つ2本柱です。

補償受け持つ損害
対人賠償相手のケガや死亡(自賠責で足りない分)
対物賠償相手の車や物の損害

任意保険の対人対物は、どちらも最低限そろえたい補償です。対人賠償のくわしい中身は対人賠償保険とはで紹介しています。

対人対物のみの契約で備えられないこと

保険料を抑えるために、自動車保険を対人対物のみにする方もいます。相手への賠償には備えられますが、次の損害は補償されません。

損害備える補償
自分や家族のケガ人身傷害・搭乗者傷害
自分の車の修理車両保険
自宅の塀や家族の車車両保険など(対物賠償は対象外)

『自分のケガは健康保険があるから』と考える方もいますよね。それでも、仕事を休んだ時の家計など、人によって備えたい部分は違います。何を自分で負担できるかを考えてから決めてみてください。

対物賠償で補償される物とされない物を分けた図解

物への賠償が大きくなる場面

ここが大事なところです

物への賠償は、相手の車の修理代だけとは限りません。お店に突っ込んだり、積み荷を壊したりすると、賠償額が大きくなることがあります。

『物の損害なら、そこまで高くならないでしょ?』と思いますよね。

ところが、日本損害保険協会の資料には、物の損害で高額になった判決の例が載っています。

判決主な損害認定された総損害額
1994年 神戸地裁積み荷2億6,135万円
1996年 東京地裁店舗1億3,450万円

金額は、裁判で認められた損害の総額です。事故の状況によって大きく変わるので、あくまで例として見てください。

ほかにも、電車との接触事故のように、物の損害が多額になる場面があります。こうした事故は、めったに起きなくても、起きた時の金額が大きいんです。

金額が大きくなりやすい場面の例

場面金額が大きくなりやすい理由
お店や住宅に突っ込んだ建物や設備、商品の損害が大きくなりやすい
荷物を積んだトラックにぶつかった車だけでなく積み荷の損害も関わる
踏切で電車と接触した車両や設備の損害が大きくなりやすい
高額な車にぶつかった修理費そのものが高くなりやすい

対物無制限は必要?対物超過修理費用特約との違い

先に結論

対物無制限は、法律上の賠償責任の額まで限度なしで支払うという意味で、多くの人に必要な設定です。ただし、賠償責任を超えた修理費までは払われないので、そこを補うのが対物超過修理費用特約です。

「無制限」の本当の意味

ここは勘違いが多いところです。

日本損害保険協会は、「保険金額無制限」は支払いの限度額が無制限という意味で、賠償責任の額を超えて払うという意味ではないと説明しています。

つまり、自動車保険の対物無制限でも、自分に賠償責任がない部分までは払われません。

時価額と修理費の差は誰が払う?

相手の車が古いと、修理費がその車の時価額を超えることがあります。

法律上の賠償は時価額が上限なので、対物賠償から払われるのも時価額までです。『全部直してほしい』という相手と、話がこじれることも少なくありません。

対物賠償の無制限と対物超過修理費用特約の受け持ちの違いを示した図解

この差額を、一定額まで補償する特約を扱う保険会社があります。名前は「対物超過修理費用特約」「対物差額修理費用補償特約」など、会社によって違います。

対物賠償(無制限)
  • 相手の物への法律上の賠償責任の額まで払われる
  • 時価額が上限
  • 自分の過失の分が対象
対物超過修理費用特約
  • 時価額を超えた修理費の差額を一定額まで補う
  • 自分にも過失があれば、その割合の分
  • 限度額や条件は保険会社による

対物賠償に免責金額を付けると?

対物賠償に免責金額を付けている場合、差し引かれた分は自分で相手に払う必要があります。

保険料を抑えるために付けていることもあるので、保険証券で一度確かめておきましょう。

対物賠償で確かめたいこと
  • 対物賠償の保険金額が無制限になっているか
  • 免責金額が付いていないか
  • 対物超過修理費用特約が付いているか、限度額はいくらか
  • 自分や家族の物を壊した時に備える補償(車両保険など)があるか

対物事故を起こしたら等級はどうなる?

先に結論

対物賠償の保険金を使うと、一般的には1事故につき3等級下がります。その後3年間は「事故有」の低い割引率になるので、少額の修理なら使わないほうがいい場合もあります。

対物の事故と等級の関係は、気になる方が多いところですよね。

日本損害保険協会の説明では、事故で保険金を受け取ると1事故につき3等級下がり、3年間は低い割引率になります。対物賠償保険を使った事故も、基本はこの扱いです。

使った補償等級の扱い(一般的な例)
対物賠償だけ3等級ダウン
対人賠償と対物賠償の両方(同じ事故)1事故として3等級ダウン
人身傷害の保険金だけ等級が下がらない扱いがある(保険会社による)

扱いは保険会社によって違う部分もあるので、使う前に確かめてください。

下がった等級は何年で戻る?

例えば、15等級の人が対物賠償を使った場合の、等級の動き方を表にしてみました。その後は事故がない前提です。

時期等級割引率の区分
事故の翌年の契約12等級事故有(残り3年)
2年目13等級事故有(残り2年)
3年目14等級事故有(残り1年)
4年目15等級無事故

元の等級に戻るまで、3年かかるのが基本です。割引率の実際の数字は保険会社によって違うので、保険料の変わり方は保険会社に試算してもらいましょう。

少額の対物事故は、保険を使うか考える

日本損害保険協会は、少額の保険金を請求すると、翌年以降の保険料の増え方のほうが大きくなる場合があると説明しています。

例えば、駐車場で隣の車のバンパーに軽く当てた時。修理費を自分で払うか、保険を使うかで迷いますよね。

対物の事故で保険を使うか決める手順
  1. 相手の車や物の修理見積もりをもらう
  2. 保険会社に、保険を使った時の等級と保険料の変わり方を聞く
  3. 等級が戻るまでの保険料の増え方と、修理費を比べる
  4. 比べたうえで、保険を使うか自分で払うかを決める
その場で約束しない

保険を使う可能性がある時は、相手とその場で示談や支払いの約束をしないでください。保険会社の承認なく示談や約束をすると、保険金の一部または全部が支払われないことがあります。

比べ方は、保険を使う・使わないの計算でくわしく紹介しています。

対物賠償についてよくある相談

先に結論

知恵袋では「対人対物は無制限のほうがいい?」「対物無制限なのに自腹と言われたのはなぜ?」「無制限なら何億でも自分は払わなくていい?」という相談がよく読まれています。

ここでは、対物賠償について多く読まれている相談を要約して紹介します。

「対人対物は無制限のほうがいい?」

対人も対物も、無制限に設定するのが一般的です。

対人は高額な判決の例が多く、対物も電車との事故などで多額になることがあります。保険料の差を見てから決めたい方は、見積もりで無制限とそれ以外の差を比べてみてください。

「対物って、そこまで必要ですか?」と聞きたくなる気持ちも分かります。ただ、めったに起きない大きな事故にこそ備えるのが、対物賠償の役目なんです!

「対物無制限なのに、保険会社から全額は出せないと言われた」

いちばん多い理由は、修理費が相手の車の時価額を超えているケースです。

対物無制限でも、払われるのは法律上の賠償責任の額までです。時価額を超えた修理費の差額は、対物超過修理費用特約がなければ自分で負担するか、相手と話し合うことになります。

ほかに、対物賠償に免責金額を付けている場合も、その分は自分で払う必要があります。

「対人対物無制限なら、何億円の賠償でも自分は一銭も払わなくていい?」

法律上の賠償責任の額までは、限度なしで支払われます。

ただ、補償の対象外になる場面があります。わざと起こした事故や、地震・噴火・津波による事故などです。自分や家族の物を壊した時も、対物賠償は使えません。

なお、酒酔い運転や無免許運転の事故でも、被害者を救う観点から対物賠償は支払われます。運転した本人のケガや車の損害が支払われないのとは、分けて考えておきましょう。

車を手放す時は、保険の手続きも一緒に

事故のあとの修理費や保険料の上がり方を見て、『この車、もう手放そうかな』と考えることもありますよね。

修理費や保険料の負担をきっかけに車を手放すなら、下取りだけでなく買取店に売る方法もあります。古い車でも値段がつくことがあるので、先に今の車の相場を知っておくと判断しやすくなります。

手放す時は、自動車保険を解約するか、中断証明書で等級を残すか、次の車に車両入替をするかを決めておきましょう。

補足

売ったあとの保険の手続きは、車を売ったら自動車保険はどうする?で紹介しています。

新しい車に乗り換える前に、今の車の手放し方も決めておく

新しい車への乗り換えを考えているなら、今の車をどうするかも先に考えておくと安心です。

『新しい車のことで頭がいっぱいで、そこまで考えていなかった』という方も多いですよね。

手放し方の選択肢

今の車は、購入する販売店での下取りのほかに、買取店に売る方法もあります。複数の会社に査定してもらうと、条件を比べたうえで決められます。

納車のタイミングと手放す時期をそろえておくと、車が無い期間もつくらずに済みます。

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ポイントは「今の車をどう手放すか」です。

多くの人は、新しい車を買うお店でそのまま下取りに出します。でもこれは、損をしやすい典型的なパターンなんです。

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よくある質問

自動車保険の対物賠償とは何ですか?

車の事故で他人の車や物を壊して法律上の賠償責任を負った時に、1回の事故につき保険金額を限度に支払われる補償です。自分や家族の持ち物は対象外です。

自動車保険を対人対物のみにしても大丈夫ですか?

相手への賠償には備えられますが、自分や家族のケガ、自分の車の損害は補償されません。人身傷害や車両保険が必要かどうかも、あわせて考えてみてください。

対物事故で保険を使うと等級はいくつ下がりますか?

一般的には1事故につき3等級下がり、3年間は事故有の低い割引率になります。扱いは保険会社によって違う部分もあるので、使う前に確かめてください。

物損だけの小さな事故でも、警察に届けたほうがいいですか?

はい。軽い事故でも警察への届け出は必要です。届け出がないと交通事故証明書が交付されず、保険金の請求に必要な書類がそろわなくなります。

対物無制限は必要ですか?

物の損害でも高額になった判決の例があるため、無制限に設定するのが一般的です。保険料の差は見積もりで確かめてみてください。

まとめ

この記事の要点
  • 対物賠償は、車の事故で他人の物を壊した時の賠償に備える補償
  • 自分や家族の物は対象外で、車両保険などで備える
  • 無制限は「賠償責任の額まで限度なし」で、時価額を超えた修理費は払われない
  • 時価額と修理費の差は、対物超過修理費用特約で一定額まで補える
  • 対物賠償を使うと一般的に3等級下がるので、少額なら使うか比べて決める
自動車保険ナビ

自動車保険ナビ 編集部

自動車保険(任意保険)の補償と特約、等級の仕組み、保険料の決まり方、見積もりと乗り換え、事故の時の流れ、車を買い替える・売る・手放す時の保険の扱いまで、公的機関や業界団体の公開情報をもとにまとめている情報サイトです。 公式サイト

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