当サイトは日本損害保険協会・損害保険料率算出機構・国土交通省・金融庁など公的機関や業界団体の公開情報をもとに編集部が独自に執筆しています。特定の保険会社・保険商品を勧めるものではありません。補償の内容・特約・保険料・等級の扱い・手続きは保険会社や契約によって異なり、制度は改定されることがあります。実際の補償や条件は、ご契約の保険会社・代理店の約款や重要事項説明書で確認してください。記事内には広告を含む場合があります。
会社を作って車を会社名義にした。あるいは、社用車の保険を見直すことになった。『法人の自動車保険って、個人の契約と何が違うの?』と迷いますよね。
結論から言うと、法人の自動車保険も補償の中身は個人とほぼ同じです。違うのは、契約者・被保険者が法人になること、台数が10台以上ならフリート契約になること、社員が運転する時の決まりやクーリング・オフの扱いなどです。
確かめる順番は、まず車検証の所有者・使用者と保険の契約者をそろえて見る、次に会社全体の台数を数える、最後に誰が運転するかを決めて保険会社に相談する、です。
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法人の自動車保険とは?個人契約と同じ所・違う所
自動車保険は、契約者も被保険者も法人にできます。対人・対物・人身傷害・車両保険などの補償の組み立ては個人と同じで、違いが出るのは「契約の名義」「台数」「運転する人」の3つです。
『法人向け自動車保険という特別な商品があるの?』と思う方も多いはずです。
日本損害保険協会によると、契約者は保険会社に申し込んで保険料を払う人、被保険者は補償を受ける人で、どちらも法人でかまいません。法人の自動車保険も、補償を組み合わせて契約する点は個人と同じです。
自動車保険の被保険者が法人か個人かで、誰が守られるか、どの割引の考え方が使えるかが変わります。まずは全体の違いを表で見てみましょう。
| 比べる点 | 個人名義の契約 | 法人名義の契約 |
|---|---|---|
| 契約者・記名被保険者 | 個人 | 法人 |
| 台数による区分 | 9台以下ならノンフリート | 9台以下ならノンフリート、10台以上ならフリート |
| 割引・割増の決まり方 | 1台ごとに事故の有無で決まる(等級) | ノンフリートは等級、フリートは契約者全体の損害の実績で決まる |
| 年齢条件・運転者限定 | 設定できる | フリートでは年齢に関係なく保険料が同じ |
| クーリング・オフ | 保険期間1年超の契約などで対象になりうる | 法人の契約は対象外 |
| 保険料の扱い | 個人事業なら業務分を必要経費に | 会社の経費として処理(税理士に確認) |

補償の中身は個人と同じ
法人の社用車でも、補償の組み立ては変わりません。日本損害保険協会の説明では、自動車保険は相手への賠償、運転者や同乗者のけが、自分の車の損害を組み合わせて契約します。
| 補償 | 社用車で考えたいこと |
|---|---|
| 対人賠償・対物賠償 | 業務中の事故は会社の責任も問われうるので、無制限が一般的 |
| 人身傷害・搭乗者傷害 | 社員や同乗する取引先のけがに備える |
| 車両保険 | 営業車が止まると仕事に響くかで考える |
| 代車の補償・ロードサービス | 車が使えない間の仕事の止まり方で考える |
社用車の任意保険でも、補償を削る前に「止まったら困る車かどうか」で考えるのがおすすめです。
『配送の車が1台止まると、その日の仕事が回らない』という会社なら、車両保険や代車の補償の重みは大きくなります。反対に、予備の車があるなら、そこまで手厚くしなくてよい場合もありますよね。
ノンフリートとフリートの違い|10台の数え方
所有・使用する車の総契約台数が10台以上ならフリート契約者、9台以下ならノンフリート契約者です。台数には、ほかの保険会社で契約している車も含めます。
『うちは9台だけど、もう1台増やしたらどうなるの?』という相談は多いです。
日本損害保険協会によると、フリートかどうかは契約者単位で数えます。「所有・使用自動車」は、通常、車検証の所有者欄・使用者欄が契約者の名義になっている車のことです。
| 台数に入る車 | 台数に入らない車 |
|---|---|
| 会社名義で所有している車 | 社長や従業員が個人で所有している車 |
| 1年以上のリース契約で借りている車 | ほかの人や別の会社に貸している車 |
| 割賦など所有権留保の条件付きで買った車 | 契約者の名義になっていない車 |
| ほかの保険会社で契約している会社の車 |
フリートの割引・割増は、契約している車全体の保険料と保険金の割合で決まります。ノンフリートのように1台ずつの等級ではありません。
日本損害保険協会は、フリートは通常、同じ条件のノンフリートより保険料が割安で、増やした車にも同じ割引が使えると説明しています。運転者の年齢に関係なく保険料が同じなのも特徴です。
フリート契約の基準はフリート契約とはでくわしく紹介しています。
自動車保険の告知事項には「契約者の契約台数が10台以上かどうか」が入っています。台数が変わった時は、保険会社に相談しておきましょう。
ノンフリートの法人契約で知っておきたいこと
台数が9台以下の会社は、法人でもノンフリート契約になり、1台ごとに等級で保険料が決まります。初めての契約は6等級、1年無事故で1等級上がり、保険金を受け取る事故1件で3等級下がる仕組みは個人と同じです。
一方、損害保険料率算出機構の資料では、年齢条件と運転者限定の料率区分はノンフリート契約だけのものです。法人契約でどこまで運転者を絞れるかは、保険会社の商品で確かめてください。
個人名義と法人名義、どちらで車を持つ?保険で変わる点
車を個人名義にするか法人名義にするかで、保険の契約者や、使える割引、補償される人の考え方が変わります。名義を決める前に、保険のことも一緒に考えておきましょう。
『社用車の任意保険は、個人で入っても大丈夫?』と迷うこともありますよね。
車検証の所有者と保険の契約者・記名被保険者が違っても契約できるか、公的な資料に一般的な説明はありません。保険会社によって扱いが違うので、名義が混ざる時は申し込みの前に相談しておくと安心です。
| 場面 | 個人名義で持つ | 法人名義で持つ |
|---|---|---|
| 主に社長だけが運転する | 本人限定などで絞りやすい | 運転者の範囲は商品しだい |
| 社員が交代で運転する | 運転者の範囲を広げる必要がある | 社員が運転する前提で組みやすい |
| 家族も休日に使う | 家族限定などで家族も入れやすい | 私的な利用の扱いを決めておく |
| 車を買い替える | 車両入替で等級を引き継ぎやすい | 入替後の車の所有者の要件に注意 |
名義を変える時は車両入替の要件に注意
日本損害保険協会によると、車両入替ができるのは、入替後の車の所有者が、今の車の所有者、記名被保険者またはその配偶者、それらの同居の親族のいずれかの時です。用途車種が同じであることも要件です。
例えば、個人名義の車の保険を続けたまま、会社名義の新しい車に入れ替えたい場合は、この要件に当てはまるかを確かめる必要があります。当てはまらない時は、今の契約を解約して新しく契約することになり、前の契約内容は引き継げません。
車の名義だけ会社に変えて、保険の手続きを後回しにしてしまうことです。車の譲渡や入替は、保険会社に書面で知らせて承認を得ないと、その後の事故に保険金が出ないことがあります。
車の名義変更と保険の関係は車の名義変更と自動車保険でまとめています。
社員が社用車で事故を起こしたら?会社の責任と補償
社員が仕事中に事故を起こすと、会社も賠償を求められることがあります。社用車の保険は、会社と運転した社員の両方を守る前提で組み立てます。
『社員の事故なのに、会社が払うの?』と思いますよね。
民法715条は、事業のために人を使う者は、その人が事業の執行で第三者に加えた損害を賠償する責任を負うと定めています。自動車損害賠償保障法3条も、自分のために車を運行の用に供する者に、人身事故の賠償責任を定めています。
どこまで会社が責任を負うかは、事故ごとの事情で変わります。会社が全額を払う、社員は払わなくてよい、といった決まった答えがあるわけではありません。だからこそ、社用車の対人・対物賠償は無制限にしておくのが一般的なんです。
日本損害保険協会によると、対人賠償の被保険者には「記名被保険者の使用者」も入っています。会社の名前で契約していれば、会社の責任にも備えやすくなります。
社員のマイカーを仕事に使う時は
社用車ではなく、社員の自家用車を業務に使ってもらう会社もありますよね。
使用目的を日常・レジャーから通勤や業務に変える時は、保険会社への通知が必要です。故意や重大な過失で知らせないと、契約の解除や保険金が出ないことがあります。業務で使う時の区分の名前や扱いは保険会社によって違います。
- 社員の自動車保険の使用目的が、実際の使い方に合っているか
- 対人・対物賠償が無制限になっているか
- 運転者の範囲や年齢条件に、その社員が入っているか
- 事故の時に会社と社員のどちらの保険を使うか、社内で決めているか
他車運転特約は社用車には使えない
自分の自動車保険には、他人の車を運転した時に補償する他車運転特約が付いていることが多いです。
ただ、日本損害保険協会によると、勤務先の業務で勤務先の車を運転している時や、役員になっている会社の車を運転している時は、支払われない主な場合に入っています。社用車の事故は、社用車の保険で備えるのが基本です。くわしくは他車運転特約とはで紹介しています。
安全運転管理者とアルコールチェックのルール
一定の台数の車を使う事業所には、安全運転管理者の選任と、アルコールチェックの義務があります。保険とあわせて、事故を減らす仕組みも整えておきましょう。
『保険に入っていれば十分』と考えがちですが、社用車には法律で決まった管理の決まりもあります。
道路交通法施行規則では、乗車定員11人以上の車なら1台、それ以外の車なら5台以上を使う事業所ごとに、安全運転管理者を選ぶ必要があります。大型・普通自動二輪車は1台を0.5台で数えます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 選任が必要な台数 | 乗車定員11人以上の車1台、その他の車5台(事業所ごと) |
| 届け出 | 選任・解任から15日以内に公安委員会へ |
| 酒気帯びの確認 | 運転の前後に、目視等とアルコール検知器で確認 |
| 記録 | 確認の内容を記録し、1年間保存 |
警察庁によると、目視等による確認と記録の保存は2022年4月1日、アルコール検知器による確認は2023年12月1日から始まっています。
- 会社名義・リースの車を全部書き出し、台数を数える
- 10台以上ならフリート、9台以下ならノンフリートとして保険会社に相談する
- 運転する社員の範囲を決め、保険の運転者の範囲と合わせる
- 事業所ごとの台数を数え、安全運転管理者が必要か確かめる
- 事故の時の連絡の流れを社内で共有する
法人の自動車保険についてよくある相談
「法人契約の車を家族に使わせたい」「個人と法人の違いは?」「運転者は誰でもいい?」という相談がよく読まれています。
知恵袋で多く読まれている相談を、要約して紹介しますね。
「法人契約の車を、帰省した子どもに使わせてもいい?」
保険の面では、運転者の範囲と年齢条件に子どもが入っているかが分かれ目です。法人契約でどう設定されているかは、証券と保険会社で確かめてください。
あわせて、会社の車を家族が私的に使うことになるので、税金や社内のルールの面でも考えておく必要があります。迷う時は、税理士にも相談しておくと安心です。
「自動車保険の個人と法人の違いは?安い法人の保険は?」
違いは、この記事の比較表のとおり、契約の名義・台数の区分・運転する人の考え方です。保険料は、補償の中身・台数・事故の実績などで決まるので、一律にどちらが安いとは言えません。
自動車保険の法人契約を比べる時は、補償の中身と運転者の範囲をそろえて、複数の保険会社や代理店に見積もりを頼むのが近道です。
「法人契約の運転者は、誰が運転してもいい?」
日本損害保険協会の説明では、記名被保険者の承諾を得て車を使う人も、対人賠償の被保険者になります。ただ、運転者の範囲に限定がある契約では、範囲の外の人は補償されません。
『社員なら誰でも大丈夫だと思っていた』という声もあります。誰が運転するかを社内で決め、その範囲が保険に合っているかを確かめておきましょう。
「営業車が9台。あと1台増やすと何が変わる?」
総契約台数が10台以上になると、フリート契約者になります。割引・割増が1台ずつの等級ではなく、契約している車全体の実績で決まるようになります。
台数を数える時は、リースで借りている車や、ほかの保険会社で入っている車も忘れずに入れてください。逆に、社員が個人で持っている車は入りません。
「うちは9台だから、まだノンフリートだよね」
「リースの1台を入れたら10台になるかも。一度全部書き出してみよう」
こんなふうに、数え漏れがないかを確かめるところから始めてみてください。
「法人名義で買った車に、個人の契約で保険をかけられる?」
所有者と契約者が違っても契約できるかは、公的な資料に一般的な説明がなく、保険会社の扱いになります。申し込む前に、車検証を見せて相談するのが確実です。
今の個人の契約から車両入替をする場合は、入替後の車の所有者の要件があります。会社名義の車がこの要件に当てはまるかも、あわせて確かめておきましょう。

法人の自動車保険の経費の考え方
会社の自動車保険料は会社の経費として処理するのが一般的ですが、細かい処理は顧問の税理士に確かめましょう。個人事業主は、業務に使った分だけが必要経費になります。
『保険料は全額経費にできるの?』というのは、よくある疑問です。
個人事業主の場合、国税庁の決算書の科目の例では、自動車の保険料は「損害保険料」に入っています。ただ、家事と業務の両方に使う車は、業務に直接必要だったと記録などで明らかに区分できる分だけが必要経費になります。国税庁は「何割まで」という目安は出していません。
| 立場 | 保険料の考え方 |
|---|---|
| 法人 | 会社の経費として処理。私的な利用がある時の扱いは税理士に確認 |
| 個人事業主 | 業務に使った分を必要経費に。割合は使い方の記録で区分 |
| 会社員のマイカー | 自動車保険料は所得控除の対象ではない |
例えばこんな場面です。個人事業主が1台の車を仕事と家族の買い物の両方に使っているとします。
この時は、走った記録や使った日の記録をもとに、仕事に使った分を区分して必要経費にします。『だいたい半分くらい』と感覚で決めるのではなく、あとから説明できる記録を残しておくのが大事なところです。
役員が社用車を私的に使う時は注意が必要です。国税庁は、役員への無償・低額での用役の提供は経済的利益として給与の扱いになりうると説明しています。
個人事業主の勘定科目と仕訳は自動車保険は経費になる?でくわしく紹介しています。
社用車を減らす・入れ替える時は
台数を減らす、古い社用車を入れ替える時は、保険の手続きと車の手放し方を一緒に決めておきます。
『この営業車、修理代がかさんできた』という時は、入れ替えを考える場面ですよね。
保険料や修理費の負担をきっかけに車を手放すことを考えるなら、下取りだけでなく買取店に売る方法もあります。古い車でも値段がつくことがあるので、先に今の車の相場を知っておくと判断しやすくなります。
手放す時は、保険を解約するか、中断証明書で等級を残すか、次の車に車両入替をするかも決めておきましょう。リースの車を返す場合も、保険の手続きが必要です。くわしくは車を売ったら自動車保険はどうする?で紹介しています。
新しい車に乗り換える前に、今の車の手放し方も決めておく
新しい車への乗り換えを考えているなら、今の車をどうするかも先に考えておくと安心です。
『新しい車のことで頭がいっぱいで、そこまで考えていなかった』という方も多いですよね。
今の車は、購入する販売店での下取りのほかに、買取店に売る方法もあります。複数の会社に査定してもらうと、条件を比べたうえで決められます。
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ポイントは「今の車をどう手放すか」です。
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まとめ
- 法人の自動車保険も、補償の組み立ては個人と同じ
- 契約者・被保険者は法人でもよく、総契約台数10台以上ならフリート契約
- フリートは契約者全体の実績で割引・割増が決まり、年齢に関係なく保険料が同じ
- 社員の事故では会社も責任を問われうるので、対人・対物は無制限が一般的
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